Melodi [LP] – キット・セバスチャン(Kit Sebastian)
2021年発売 Anatolian rock(アナトリアン・ロック)

Melodi [LP] – キット・セバスチャン(Kit Sebastian)

『Melodi [LP] 』は、2021年(令和3年)7月19日に発売された、ロンドン・フランスを拠点に活動している男女デュオ「キット・セバスチャン(Kit Sebastian)」の2nd(2枚目の)アルバムです。

雑誌「Shindig! 」の2022年アルバムの1位に選出されました。

Melodi [LP] – キット・セバスチャン(Kit Sebastian)のデータ

INFORMATION
曲名 ①Yalvarma (Don’t Beg)
②Agitate
③Yeter (Enough)
④Melodi (Melody) Part 1
⑤Melodi (Melody) Part 2
⑥Elegy For Love
⑦Affet Beni (Forgive Me)
⑧Inertia
⑨Ahenk (Harmony)
⑩Please, Don’t Take This Badly
発売日 2021年(令和3年)7月19日
作詞作曲 ①~⑩キット・セバスチャン・エリオット・マーティン(Kit Sebastian Elliot Martin)とエミー・メルヴェ・エルデム(Emine Merve Erdem)
録音参加メンバー Desighn:オーエン・トーザー(Owen Tozer)
Mixed:篠田秀太(Shuta Shinoda)
Mastering:ピート・ノーマン(Pete Norman)

Melodi [LP]の解説

Melodi [LP]の解説

雑誌「Shindig! 」の1位に選出されるキット・セバスチャン [画像出典:Facebook]

キット・セバスチャン(Kit Sebastian)の2nd(2枚目の)アルバム「Melodi 」は雑誌 Shindig!の2022年アルバム1位として選出されました。

セカンド・アルバム『Melodi』は、前作のデビュー・アルバム『Mantra Moderne』を2019年(令和元年)にリリースしてから、コロナ・ウィルス(COVID-19)のパンデミックが蔓延したため、制作に時間がかかったといいます。

女性ボーカルのメルヴェ・エルデム(Merve Erdem)は、「最初のアルバムよりも、複雑で、予想よりもすこし長くレコーディングかかった」と語ります。

デビュー・アルバムで輝かしいデビューを飾った(ヒットした)ため、次回作による期待が高まりましたが、キッス・セバスチャンは『Mantra Moderne』から、一歩進んで、楽器とサウンドの新たな領域を探求しはじめました。

「コロナで都市部がロック・ダウン中、メンバーが以前よりも家で多くの映画を見るようになり、アルバムも前作より映画的(視覚・物語)になっているのがわかるよ」とキット・マーティン(Kit Martin)は語ります。

サウンドには、弦楽器=ヴィオラのエリー・ワン(Ellie Wang)とトランペットの杉山ムネユキ(Munéyuki Sugiyama)が加味され、彩りを与えています。

出典:jazzrevelations.com

①Yalvarma (Don’t Beg)

①Yalvarma (Don’t Beg)は、セカンド・アルバムのオープニングを飾るナンバーで、ギリギリ、アルバム収録曲になりました。

歌のテーマは、失敗した関係と愛されたいという承認欲求という「二つの願望」の二面性について歌われています。

サウンドは、アナログシンセサイザー、パーカッション、マルチトラッキング・ボーカル(合唱団のようなサウンド)を探求しています。

②Agitate
③Yeter (Enough)

③Yeter (Enough)は、貧しくとも野心的な女の子が、誰かになるために苦労するテーマを歌っています。

サウンドは、それぞれのチャンネルに楽器を吹き込み、電子楽器と民族楽器が合成されています。70年代に活躍したイタリアのシンセがウード(中東・北アフリカの弦楽器)と出会い、日本のモノフォニック・シンセがシタール(インドの弦楽器)に出会い、そのサウンドの多様性はアゼルバイジャンの民族音楽から、クラシックのバッハまでと幅広いです。

④Melodi (Melody) Part 1

④Melodi (Melody) Part 1は、セカンドアルバムのためにレコーディングされた最初のトラックで、タスカム社の8トラック・カセット・マシンが使用されています。

最初の発想は、北アフリカのトゥアレグ族(ベルベル人系の遊牧民)の音楽をヒントにギターで作曲されたものでしたが、自然とピアノに置き換えられ、スイングするジャズ・ナンバーに変化しました。

ファルフィサ社のオルガンやワウワウ・ペダルを利用したギターも利用して、親近感のあるサウンドになっています。

⑤Melodi (Melody) Part 2

⑤Melodi (Melody) Part 2は、タスカムの8トラック・カセットマシン(MTR)で録音された最後の作品です。

④Melodi (Melody) Part 1のリプライズとして、ラテンパーカッションとMS20シンセで、ほぼ同じ楽器を使っています。

詞のテーマは、悩みながらも逃げられないメロディについて歌われています。

⑥Elegy For Love

⑥Elegy For Loveは、シングル・カットされたナンバーで、二人のロマンスを守るために最後の深夜のミーティングをする内容を歌っています。

グロッケンシュピール(鉄琴の一種)、ストリングス、トランペットを加え、ソウルフルで多様な楽器が入り混じるナンバーに仕上がっています。

⑦Affet Beni (Forgive Me)

⑦Affet Beni (Forgive Me)は、ガボール・ザボ(Gábor Szabó)=ハンガリーのジャズ・ミュージシャンに影響を受けて、バラライカ(ロシアの弦楽器)のメロディをギターに置き換えています。

トルコ、東ヨーロッパ、ブラジル、コーカサス地方など様々な民族音楽をブレンドしたナンバーです。歌詞のテーマは、翌朝には効力を失う一夜の恋愛物語について書かれています。

⑧Inertia

⑧Inertiaは、アルバムからの2ndシングルで、歌のテーマはドイツの女優・歌手であるマレーネ・ディートリヒ(Marlene Dietrich)主演の映画『嘆きの天使(Der Blaue Enge)』の演技に感化されて書かれ、夢のようなシネマティックなトラックに仕上がっています。

⑨Ahenk (Harmony)

⑨Ahenk (Harmony)は、イタリアの作曲家「ニーノ・ロータ(Nino Rota)」の1969年の映画『サテコリン(Satyricon)』のサウンドトラックと、古代ギリシャの楽器、リラ(lyre)の音楽に影響を受けています。

メイン楽器はウード(リュート属の中東の弦楽器)ですが、メロディに合わせて、ジター、バラライカ、ブルブルタラング(インドの弦楽器)が入まじり、不協和音を奏でるピアノと絡み合います。

⑩Please, Don’t Take This Badly

⑩Please, Don’t Take This Badlyは、アルバム最期をしめくくるラストナンバーで、Born Bad recordsとトロピカリア(ブラジル)のレコードによってリリースされたチャ・チャ・チャ(キューバ起源のリズム)コンピレーションにインスパイアされたものです。

遊び心のあるオーケストラ、特にトランペットとストリングスのコール・アンド・レスポンスを試しています。

キット・セバスチャンの中でもとりわけラテン・パーカッションが目立つリズムが重要な位置をしめるナンバーです。

出典:Facebook

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キット・セバスチャン(Kit Sebastian)
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